
2025年9月3日
街の薬局の調剤室で今も手作りされている漢方軟膏。
中でも「紫雲膏(しうんこう)」と「中黄膏(ちゅうおうこう)」は、昔ながらの知恵が詰まった外用薬です。
市販品もありますが、私たち「べにばな薬局」では、ひとつひとつ手作業で仕上げています。手間はかかりますが、その分使う人のことを思いながら作る時間は私たちにとって、とても大切なひとときです。
今回は、黄色が美しい「中黄膏」についてご紹介します。
#中黄膏 べにばな薬局謹製
★中黄膏のルーツと物語
中黄膏は、江戸時代の名医・華岡青洲先生が創設した私塾「春林軒」で伝えられた14種類の軟膏のひとつです。青洲先生は、世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させたことで知られています。小説『華岡青洲の妻』などでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
外科に長けていた青洲先生だからこそ、漢方軟膏の創薬にも深い知見があったのでしょう。
中黄膏はそんな歴史の中で生まれた自然の力を活かした外用薬です。
中黄膏は『薬局製剤指針』にも記載されており、急性の化膿性皮膚疾患(はれもの)の初期や、打ち身・ねんざなどの効能効果がある軟膏です。
★主な成分とその働き
鬱金(ウコン)
鬱金の原形生薬 #きぐすり.com より画像拝借
鬱金の花 #きぐすり.com より画像拝借
ショウガ科の根茎で、味は辛・苦、性質は涼。 気や血の巡りを整え、痛みを和らげる働きがあります。月経痛や打撲、胃の不調にも使われ、健康食品や香辛料(ターメリック)としてもおなじみですね。カレーの黄色や、昔のたくあんの色付けにも使われていました。
黄檗(オウバク)
黄檗の原形生薬 #きぐすり.com より画像拝借
黄檗の花 #きぐすり.com より画像拝借
胃作用があります。炎症や打撲、肺炎などにも用いられ、防虫効果もあるため、昔は大切な書類用の紙や、和服を包む風呂敷を染めるのにも使われていたそうミカン科の樹皮で、味は苦、性質は寒。 熱を鎮め、湿気を取り除き、殺菌や健です。
地方によっては産着を染める風習もあったとか…自然の力ってすごいですね。
★こんな時におすすめです
・おむつかぶれ
・あせも
・アトピーとあせもが混在した皮膚炎
・赤みと熱感が強く、化膿しているニキビやできもの
★私の体験から
高齢の父が帯状疱疹に気づかず、湿布を貼ってしまったことで症状が悪化したことがありました。
病院では抗生物質の軟膏が処方されましたが、あまりに痛々しくて…。中黄膏をガーゼに広げて貼ってみたところ、患部が乾いて赤みが引き、回復が早かったように感じました。
帯状疱疹は「湿熱証」とされるため、オウバクの熱を鎮める・湿を去る・殺菌する力が、ちょうどよく働いたのかもしれません。身内のことなので気づくのが遅れてしまいましたが、良い症例を見せてもらえたことに感謝しています。
★手作りの工程と想い
ごま油をじっくり2時間ほど加熱し、ミツロウを加えて手で触れる位まで冷まします。そこにウコン末とオウバク末を加え、時々かき混ぜながら仕上げていきます。手間はかかりますが、愛着のある軟膏です。
「青洲先生は、乳がん手術の傷にどんな軟膏を使ったのかな…」 そんなことを思いながら手作りする時間は、私にとってとても贅沢で、心が整うひとときです。
★地方発送承ります
症状をお伺いしたうえで、地方発送も可能です。お気軽にお問い合わせください。
お問合せ・ご予約先
↓
電話0955-70-1881もしくはLINEにて
★華岡青洲ゆかりの地へ
和歌山県紀の川市には、華岡青洲の偉業を称える「華岡青洲顕彰記念公園」があります。
和歌山へお出かけの際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
文責
べにばな薬局 薬剤師 国際中医師
渡辺喜美江
私たちがお待ちしております!
べにばな薬局
TEL 0955-70-1881
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2025年8月12日
~クロトリマゾールM軟膏~
クロトリマゾールM軟膏は、白癬菌やカンジダ菌などの皮膚真菌症に効果を発揮します。
つまり、みずむし、たむし、ぜにたむしの塗り薬です。
主薬を混ぜ込む軟膏基剤がマクロゴール軟膏なので、皮膚の深部によく浸透します。
そのマクロゴール軟膏から手作りしているというのが当店の自慢です。
マクロゴール軟膏は粉末のマクロゴール4000と液体のマクロゴール400を合わせ、加熱溶解して透明の液状にして作ります。
液体の状態の時に主薬のクロトリマゾールを投入して溶かし、撹拌しながら冷やし固めます。
マクロゴール軟膏の性質として吸水効果があるので、指の間にできるジュクジュクタイプの水虫に効果的です。
現代は様々な成分や剤形(軟膏、クリーム、ゲル、液体、スプレーなど)の市販品がありますが、
当店はこのクロトリマゾールM軟膏は根強い人気です。
早く治すコツは、自己判断せずに患部を見せて相談し、適切な指導を受け根気よく続けること。
*水虫あれこれ
~水虫にも種類がある~
跡間型
指の間にできる。皮が白くふやけて剥けたり、ジュクジュクする。梅雨から夏にかけて活動。
小水疱型
小さな水ぶくれがポツポツできて、破れる。夏場に症状が出て、冬は沈静化。
角質増殖型
慢性化した水虫。角質層が増殖して厚く硬くなる。硬くなった皮膚がひび割れて痛むことも。あまり痒くはなく、季節を問わない。
爪白癬
白癬菌(水虫菌)が爪の中に感染。爪が白く濁って厚くなる。あまり痒くない。季節を問わない。
*はて?同じ足拭きマットを使って感染しやすい人、しにくい人・・・その差は何?
白癬菌はどこにでもいるプピュラーな菌です。
普通のカビと同じで、高温多湿が大好きです。
健康な皮膚は弱酸性で、カビなどは繁殖しにくいようになっています。
しかし、免疫力が落ちたり、栄養状態が悪いと皮膚の抵抗力がなくなり、感染しやすくなります。
血糖値の高い方や肝臓の状態が悪い方も要注意です。
*皮膚の新陳代謝が悪いと水虫治療は長引くって本当?
たばこを吸う方や、冷え性の方は末梢の血液循環が悪いので皮膚の新陳代謝が低下します。
ターンオーバーがスムーズにいかないと古い角質が溜まるため白癬菌が排出するまでに時間がかかってしまいます。
水虫に罹ってしまった方は皮膚の新陳代謝を高めることが早く治すコツです。
*水虫治療の「かきくけこ」
か:乾燥させる
水虫は乾燥が苦手。
入浴後や足を洗った後、清潔な乾いたタオルで水分を
よく拭き取りきちんと乾燥させましょう。
ドライヤーの冷風を当てるのもお勧め。
足拭きマットはこまめに洗い、日光に当てて十分に乾燥させます。
き:きれいに(清潔に)
石鹸で足の指の間までくまなく洗って清潔に。
できれば天然の抗菌作用のある植物成分入りの石鹸がお勧め。
く:くすりで
水虫のタイプによって、薬を使い分ける。
症状がひどく崩れているような場合は、水虫治療の前に皮膚の状態を整えます。
角質層が硬く薬が浸透しにくい場合は角質層を柔らかくしてから。
患部だけでなく広範囲に塗る。
け:継続して
症状があるときは誰でもまめに治療しますが、症状が軽くなるとついサボりがち。
少なくとも1日2回は頑張って続けましょう。
1日1回タイプもありますが、かゆみ止め感覚で使用しないこと。
清潔をこころがける意味でも、1日2回くらいは患部を見ましょう。
痒みが止まっても、水虫菌はなかなかしぶといですよ。
こ:根気よく
水虫治療は薬3割、根気7割と言われるほど。
治ったと思っても、更に最低1ヶ月は続ける。
ココを徹底しないから、潜んでいたものが復活するのです。
皮膚は内臓の鏡です。
つまり、皮膚に現れている水虫症状は「結果」
水虫は皮膚だけの問題ではありません。
「水虫・たむし」その他皮膚症状のご相談はべにばな薬局へ!
それでは最後に水虫の歌をお聴き下さい・・・
松山千春で『水虫くん』https://youtu.be/7zWmMtH0ZOs
まさかこんな歌と出会えるとは!
ただ・・・水虫くんとはそんなに簡単にお別れできません(笑)
継続的な治療をべにばな薬局で(^_-)
文責
べにばな薬局 薬剤師 国際中医師
渡辺喜美江
べにばな薬局
TEL 0955-70-1881
タグ: たむし, 佐賀, 免疫力, 唐津, 水虫, 漢方, 爪白癬, 皮膚炎
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2025年7月14日
土用シリーズⅡ
復習を兼ねてまずはお読みください
~春の土用~https://benibana-kanpou.com/news/2296.html
~夏の土用~
ここから読み始める方ために簡単に復習をしましょう。
四季の始まり立春・立夏・立秋・立冬の前18日間を土用と言います。
ちょうど季節の変わり目の時期ですね。
今年2025年は立秋が8月7日なので夏の土用の入りは7月19日、明けは8月6日になります。
陰陽五行説では五臓と季節の関わりを説いています。
すなわち「春は肝」、「夏は心」、「秋は肺」、「冬は腎」
ひとつ残った「脾」と関わりがあるのが土用です。
土用はひとつの季節を乗り越え、次の季節を元気に過ごすために「脾・胃」を労る時期でもあります。
夏の土用丑の日には養価の高い鰻を食べて暑い夏を乗り切り、元気に秋を迎えようという風習は江戸時代の平賀源内さんの発案という説がありますが、鰻は滋養強壮に良いということは平安時代の頃から言われていたようです。
今年は、土用の丑の日が7月19日と7月31日で2回あります。
梅雨明けが異常に早く、猛暑が長期化しそうな今年の夏。
早い時期から強烈な暑さに曝されて心身共に、すでに『グッタリ(-_-)』という方も見受けられます。
梅雨明け早々からの暑さで、喉ごしの良い冷たく水分の多いものを摂り過ぎていませんか?
胃腸が弱っていると「気・血・津液」も作れません。夏バテの原因にもなります。
そんな胃腸を労りつつ、美味しく土用の鰻を食べて元気に夏を乗り切りたいものです。
鰻は腎・肝・脾の働きを助け、気・血を補う作用があります。
また漢方薬にも使われている山椒の粉を振りかけて食べると、胃を温めて消化を助けるので、夏の土用にはうってつけの食材と言えます。
【こんなご相談がありました】
~薄い唾液が口中にあふれそうに出て~
「最近食欲がなく胃がしくしくと痛むこともあり、便も軟便です。昨日薄い唾液が口の中一杯になり、ビックリして相談に来ました。」
冷え症なので、職場のエアコンが苦手とおっしゃる30代の女性Aさん。
元々胃腸が弱いので普段は温かいものを好んで飲んでいますが、あまりの暑さについ冷たい飲み物や、のど越しの良い冷たい麺類や野菜サラダなどを食べる機会が増えています。
Aさんは自分自身を温める力が不足している方なので、職場のエアコンでますます体が冷えている状態です。
そこへ冷たいものを摂ると体もお腹も更に冷えてしまう「脾陽虚証」というタイプです。
薄い唾液がジュワーッと口中にあふれるのは、相当胃が冷えている証拠です。
この方には「脾」を温める漢方薬と、取り込んだ冷え(寒邪)を取り除く作用のある漢方薬を飲んでいただきました。
そして普段のお食事に薬味(下の欄参照)を活用すること、平性・温性の食材を意識して摂ること等をお話ししました。
昔と違って現代人はエアコンや冷たい飲み物等でお腹を冷やす機会が多いので、普段胃腸が冷えない方でも注意が必要です。
夏の土用の食養生
*現代は冷やし過ぎ
ほんの30年程前とは桁違いの暑さ。
35℃超えなんてザラ!なので、仕方がないと言えば仕方がないですが・・・
冷蔵庫で冷やした飲み物に氷を入れる、それでも足らずにコップまでキンキンに冷やす等はちょっと行き過ぎではないかと思うのです。
*体の熱冷まし、夏野菜を上手に活用するべし
食べものには陰陽五行説に基づいて、それぞれに体を温めたり冷やしたりする性質があります。
~馴染み深い夏野菜~
寒性:ゴーヤ、スイカ、トマト、ズッキーニ、空心菜、レンコンなど
涼性:キュウリ、なす、セロリ、オクラなど
冷える方には平性、温性がおすすめ
平性:枝豆、トウモロコシ、キャベツ、人参、ピーマン、サツマイモなど
温性:生姜、シソ、かぼちゃ、ネギ、タマネギ、らっきょうなど
*薬味を活用
前出の鰻に添える粉山椒、寿司にわさび、そうめんに生姜・ねぎなど
これらを「薬味」と言います。
薬味とは:
味を引き立たせるだけではなく、毒消しや健康維持のためにも活用されてきました。
薬という字がついているので薬と大いに関係があり、漢方の世界にも食材や生薬を酸味・甘味・辛味・苦味・鹹味の五味に分類しています。
ここでは夏の健康維持に役立ち、手に入れやすい薬味を紹介します。
生姜、ネギ、ニンニク、ミョウガ、シソ、コリアンダー(パクチー)、山椒、花椒など。
冷えに傾きがちな体を立て直し、食欲増進!
発汗させてこもった熱や湿気を取り除く作用もあるので、大いに利用したいものです。
文責
べにばな薬局 薬剤師 国際中医師
渡辺喜美江
べにばな薬局
TEL 0955-70-1881
タグ: 丑の日, 伊万里, 佐賀, 冷え, 唐津, 土用, 漢方, 福岡, 糸島, 胃腸, 薬味, 食養生
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2025年4月15日
土用シリーズⅠ~春の土用~
「なんだか胃のあたりが貼って苦しい。
腸もグルグルいってガスが溜まっている
みたい。
食欲もあまりなくて、軟便気味です。
以前こちらで頂いた漢方薬が良かったので。」
と50代女性のご相談です。
お話を伺うと、「ストレスのようなモノは
何もないし、暴飲暴食もしていない。」
と言われますが、コレ!という明確なモノが
なくてもカラダは正直です。
季節の移ろいを敏感に感じ取っているので
しょう。
日本の四季、春夏秋冬それぞれの季節
の始まりが「立春、立夏、立秋、立冬」
そして、次の季節に入る前の18日間が
「土用」です。
「季節の変わり目」と言われるこの時期は
何かと体調を崩しがちですね。
陰陽五行説では五臓と季節の関わりを
説いています。
(下の図をご覧ください)
「春は肝」 「夏は心」 「秋は肺」 「冬は腎」を労って次の季節に備えます。
あれ?
「脾(消化機能と考える)」と関わる季節は?
そう、ひとつ残った脾を労るのが
次の季節への橋渡しをする「土用(黄色い丸)」の時期です。
↓
春に活発になる臓器は「肝」ですが、
実は「肝」はストレスに弱い臓器です。
木の性質に似ているので、伸び伸びとした状態を好みます。
しかし、実生活ではなかなか伸び伸びできませんね。
肝は「氣」の流れを良くする働きもあるので、
伸び伸びできないと氣の流れが滞って様々な場所に氣が溜まり、苦しくなってきます。
これが「張ったような痛み」や「おならなどのガス」となって現れるのです。
我慢強い肝が弱ってくると、
ななめ下にある「脾」に影響します(点線の矢印で表示)。
これを漢方では肝と脾の調和が取れない「肝脾不和」と表現します。
つまり、今回のご相談はストレスによって肝が弱りそこから胃腸に影響したと考えられるのですね!
夏の土用は有名ですが、
土用はそれぞれの四季にあります。
2025年の春の土用は4月17日から
明けは5月4日とされています。
つまり5月5日が「立夏」夏の始まりです。
実生活の季節感と若干ずれはありますが、
立春以降の2・3・4月は、生活の環境も
変わる方が多いのでドキドキ・ワクワクが
身体の変調となって現れやすいです。
「木の芽時」という言葉がありますが
この時期特有のこころや皮膚の
お悩みも増えてきます。
春から夏に向かう春の土用は、
どのようなことに氣をつけたら
良いのでしょう。
新生活の疲れも出て来る頃。
5月病といわれる時期でもあるので、
上手にストレスを発散しましょう。
おすすめのはセリなどの香りの良い食材や酢の物。
お花見や歓送迎会などで疲れた肝臓を
休めつつ、胃腸を守る消化の良い食べものを
取り入れるようにしましょう。
本格的な夏の前に日本には湿度の高い
梅雨がありますが、脾というところは湿気を嫌います。
水分の摂りすぎに注意をして、ウォーキングなどで心地よい汗をかいて
水分代謝を良くすることもお忘れなく♪
Children Party Image Illustration
肝も脾も労りながら、元氣に次の季節に
進みましょう!
文責
べにばな薬局
薬剤師 国際中医師 子宝カウンセラー
渡辺喜美江
べにばな薬局
TEL 0955-70-1881
タグ: ストレス, 下痢, 伊万里, 佐賀, 唐津, 春の土用, 木の芽時, 漢方, 福岡, 立春, 糸島, 胃腸, 胸焼け, 薬膳, 軟便, 食欲
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