べにばな薬局のブログ

2021年12月

福耳は縁起が良いって本当?    〈福耳と腎について〉

2021年12月30日 木曜日

 アクセサリー売り場でピアスを物色中の女性達からこんな話が聞こえてきました。

「福耳って縁起が良いと言うけど、あんまり良いと思ったことないわね。

むしろピアスするときに不便だよね。」

その方の耳を見ると、確かにふくよかな福耳!触りたいくらいふわふわ。うらやましい・・・。

 福耳は米粒が乗るようなのがベスト!

福耳は金持ち、社長さんや人気者に多い、長生きする等など・・・、福耳に関する謂われはいろいろ聞きますね。

何を根拠にそう言われているのでしょうか。それは、どうやら漢方的な考えからきているのでは?と私は思っています。

そこで!気になる福耳について私なりの考えをまとめてみました。

〈目次〉

1.福耳とはどんな耳?

2.福耳の人は、「縁起が良い」「お金持ち」「健康長寿」「人気者」と言われるのは何故?

3.腎について

4.腎精と女性

5.耳が小さく耳たぶも薄い人はどうしたら良いの?

6.まとめ

1.福耳とはどんな耳?

 七福神の大黒天さま、恵比寿さま、福助人形の耳のように耳たぶが肉厚でぽってりしている耳というとおわかりですね。

なるほど、ピアスのピンの長さが規格外になりそうですね。

ついでに言うと、福耳の方は耳たぶだけでなく耳自体も大きい方が多いです。

 ところで、大仏様や観音様などの仏像を見ると耳たぶが下に長くまた耳自体も大きいです。これは人々の声をよく聞くためと言われ、福耳ではなく仏耳と言われているようです。過酷な修行を成し遂げ、悟りを開き、民衆を救うためには強い精神力と体力が必要でしょう。これは後に述べる「腎の力」によるところが大きいです。

2.福耳の人は、「縁起が良い」「お金持ち」「健康長寿」「人気者」・・・

  と言われるのは何故?

 これは、中国古来の陰陽五行説に由来しているのではないかと思います。

陰陽五行説に基づいて、自然界や人体などを五つに分類した五行色体表があります。それにによると「腎は耳に開竅する」つまり腎の穴は耳といわれ、耳は五臓のうちの腎に関係しているとされています。

耳が大きいと腎も大きく丈夫であると推察できます。腎のことを理解すると、福耳の謂われが納得できるでしょう。

3.腎について

「腎と腎臓は違うの?」とよく聞かれますので、その違いから。         

3ー1 西洋医学の腎臟の働き

①血液中の老廃物(いらないもの)や余分な水分を濾過して尿として排出する。

②体内の水分量やイオンバランスを調整する。

③血圧のコントロールをする。

④血液を作るホルモンを分泌して骨髄で血液を作る指令を出す。

⑤カルシウムの吸収をよくする活性型ビタミンDを作って骨を丈夫にする。

3-2 漢方での腎の働き

①腎は成長・発育・老化と関わっている。

②脾・肺と協調して津液の代謝を行なう。

③呼吸の呼気は肺が、吸気は腎が深く関わっている。

④腎は髓を作り出す。髓は骨を作る元であり、髓が集まって脳ができる。

 腎が正常であれば、骨や歯も丈夫で、髪は黒々としている。

⑤腎は生殖器と肛門の働きにも関わる。                 

 

 私たちは両親から先天の精(生命力)をもらって誕生します。

その後食べ物から得た後天の精を腎に蓄え、腎精を補充しながら生命活動を営んでいます。

古代中国では、五臓の働きを官職に当てはめて考えていました。

腎は「作強の官」、丈夫で根気強く物事を最後までやり通す力があり、聡明で細かい作業も巧みにすると言われています。

そういうところが「耳が大きい人は丈夫で長生き」と言われる由縁で、さらに根気強く聡明で細かい作業が巧みであるとなれば、お金持ちにもでもなれるでしょうし、人気者にもなれるでしょう。

また、五行色体表において腎の処に分類されている感情は「恐・驚」なので、腎が丈夫な人は恐れや驚きが少ない屈強なイメージがあり、ものごとを成し遂げるのに必要な感情ではないでしょうか。

逆に腎が虚弱な人は怖がり屋さんや異常に驚きやすいイメージがあります。「へっぴり腰」という言葉は腎が弱いということを言い当てています。

各界の著名な方やご近所のご長寿さんの耳をよく観察してみてください。きっと良い形の耳を持っていらっしゃいますよ。

3ー3 ヒトの成長・発育・老化は腎精の盛衰に関係している

腎の変化は男女で異なります。

女性は7歳ごと、男性は8歳ごとに変化が訪れます。

その変化を歳を追って見ていきましょう。

男  女

0歳 0歳 :先天の精を腎に蔵し、誕生

8歳 7歳 :腎精が盛んになり始め、永久歯が生え毛髪量が増えてくる。

16歳 14歳 :男子は精通を見、男子から男性へ。女子は初潮を迎え女子から女性へと身体が変化していく。

24歳 21歳 :身体が成熟し、若々しく活動できる。

32歳 28歳 :腎精が満ち、身体が人生最高の状態となる。女性はこの頃までに初産を終えておいた方が理想的。

40歳 35歳 :肌、髪、肉体的にも衰えが見え始める。女性は生理と女性機能が衰えはじめる。

48歳 42歳 :身体が衰え始め、しわや白髪が目立ち始める。

56歳 49歳 :身体の老化が進む。女性は閉経を迎え、更年期症状が現れる。  男性更年期もこのころ。

老年期   :耳が遠くなる・足腰が弱る・行動が鈍くなる・物事が億劫になる・物忘れ など 歳かな?という症  状が増えてくる。   

腎精虚衰 ⇒腎精を補うしかない!

4.腎精と女性

 月経、妊娠出産、更年期など女性の身体の大きなイベントは腎精の盛衰に大いに関係していますので、女性と腎精について考えてみたいと思います。

腎精は成長に従って徐々に増えていき、女性の場合28歳でピークです。心身ともに充実し人生で最高の状態になりますので、初産はこの頃までに済ませておくことが理想と言われています。

しかし現代は、初産年齢があがっています。ということは、遅くとも35歳前には腎を補っておく必要があるのです。

そして、49歳位で閉経を迎えますが、閉経期の前後に月経周期の乱れとともに、様々な肉体的・精神的症状が出てきます。これを更年期障害と言いますが、漢方では腎精・血の衰えと捉えています。

ほとんどの方がある一定期間を過ぎると更年期の症状は治ったと言われますが、実際は全体の機能が低下してくるので、低下した中でバランスが取れて治ったかのように見えるのです。

更年期は第2の人生の始まりのサインです。これからの人生設計や、身体の養生法を考える時期でもあります。

老化は腎精が衰えていくということです。楽しく美しくそして元気な老年期のためにも、一番衰えやすい腎を滋養強壮(*)することはとても大切なことです。今からでも遅くはありません。

 *滋養強壮とは:食べ物から得た栄養素を体に必要な栄養に変え全身に届け、その結果体の弱っているところを強くすること

5.耳が小さく耳たぶも薄い人はどうしたら良いの?

 では、小さい耳のひとは生命力がなく、虚弱で根気がないのかと心配になりますよね。

大きい物は小さくできませんが、小さい物は補うことによって十分に役割を果たしてくれます。

耳が小さい方は、腎が弱い傾向にあるということを覚えておいて、腎を丈夫にするような食べ物などを意識して摂ると良いのです。

例えば、腎を丈夫にする食べ物は色的には黒いもの

海藻(昆布、ひじきなど)、黒ごま、黒豆、黒キクラゲ、栗、くるみ,ぎんなん にら、ネギ、山芋、豚肉,羊肉、エビ、かに、かつお、うなぎ、などです。

普段の食事に気軽に取り入れられる食材で簡単薬膳、お勧めです。

おせち料理の黒豆は「まめまめしく働く」ということで、年の初めから腎をサポートしています。

 滋養強壮に使われる漢方薬では、中国の皇帝が不老長寿と子孫繁栄のために考案させたといわれる『瓊玉膏』が有名です。

『洪氏集驗方』という宋の時代の書物に瓊玉膏の効能効果が記載されていますし、韓国ドラマでも有名な許浚(ホジュン)が記した『東醫方鑑』の最初に瓊玉膏のことが書かれています。

瓊玉膏は日本にも伝わり將軍や武将達にも愛用されたようです。江戸時代に徳川家斉が病に伏せた長谷川平蔵(「鬼平犯科帳」のモデル)に見舞いとして下されたと言う話もあります。

現代でも脈々とその処方は続いており、天寿が尽きるまで元気でいたいと願う人々に愛用されています。

6.まとめ

 「腎臓が寿命を決める」というテレビ番組で腎臓が各臓器の司令塔の役割をしていると説明しており、西洋医学の世界でも腎臓の重要性が注目されてきています。

 誕生から天寿が尽きるまで、男性は8歳ごと、女性は7歳ごとに身体に変化が現れます。それには腎精の盛衰が大いに関わっています。

福耳や耳が大きいということは、腎気が盛んで生命力があり、健康長寿で福を引き寄せる力があるということです。

パートナーを選ぶ時に、お相手の耳を見ることも大切かもしれません。

しかし、腎が生まれながらに弱くても食べ物などでその働きを補うことができますし、加齢と共に腎が衰えていくことを知って早めに腎を補うことで健康長寿を叶えることができるでしょう。

 これからでも遅くはありません。しっかり腎を補いつつ、いつまでも元気で素敵な人生(腎精)を送りましょう!

薬剤師・国際中医師・子宝カウンセラー 渡辺喜美江


元気で長生き!のご相談は、

べにばな薬局へ ♪

唐津市南富士見町6-23

0955-70-1881

LINE

#佐賀#唐津

#漢方#相談#薬局

#福耳#腎蔵#元気#長生き

ページの先頭へ戻る