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2025年7月14日 月曜日
土用シリーズⅡ
復習を兼ねてまずはお読みください
~春の土用~https://benibana-kanpou.com/news/2296.html
~夏の土用~
ここから読み始める方ために簡単に復習をしましょう。
四季の始まり立春・立夏・立秋・立冬の前18日間を土用と言います。
ちょうど季節の変わり目の時期ですね。
今年2025年は立秋が8月7日なので夏の土用の入りは7月19日、明けは8月6日になります。
陰陽五行説では五臓と季節の関わりを説いています。
すなわち「春は肝」、「夏は心」、「秋は肺」、「冬は腎」
ひとつ残った「脾」と関わりがあるのが土用です。
土用はひとつの季節を乗り越え、次の季節を元気に過ごすために「脾・胃」を労る時期でもあります。
夏の土用丑の日には養価の高い鰻を食べて暑い夏を乗り切り、元気に秋を迎えようという風習は江戸時代の平賀源内さんの発案という説がありますが、鰻は滋養強壮に良いということは平安時代の頃から言われていたようです。
今年は、土用の丑の日が7月19日と7月31日で2回あります。
梅雨明けが異常に早く、猛暑が長期化しそうな今年の夏。
早い時期から強烈な暑さに曝されて心身共に、すでに『グッタリ(-_-)』という方も見受けられます。
梅雨明け早々からの暑さで、喉ごしの良い冷たく水分の多いものを摂り過ぎていませんか?
胃腸が弱っていると「気・血・津液」も作れません。夏バテの原因にもなります。
そんな胃腸を労りつつ、美味しく土用の鰻を食べて元気に夏を乗り切りたいものです。
鰻は腎・肝・脾の働きを助け、気・血を補う作用があります。
また漢方薬にも使われている山椒の粉を振りかけて食べると、胃を温めて消化を助けるので、夏の土用にはうってつけの食材と言えます。
【こんなご相談がありました】
~薄い唾液が口中にあふれそうに出て~
「最近食欲がなく胃がしくしくと痛むこともあり、便も軟便です。昨日薄い唾液が口の中一杯になり、ビックリして相談に来ました。」
冷え症なので、職場のエアコンが苦手とおっしゃる30代の女性Aさん。
元々胃腸が弱いので普段は温かいものを好んで飲んでいますが、あまりの暑さについ冷たい飲み物や、のど越しの良い冷たい麺類や野菜サラダなどを食べる機会が増えています。
Aさんは自分自身を温める力が不足している方なので、職場のエアコンでますます体が冷えている状態です。
そこへ冷たいものを摂ると体もお腹も更に冷えてしまう「脾陽虚証」というタイプです。
薄い唾液がジュワーッと口中にあふれるのは、相当胃が冷えている証拠です。
この方には「脾」を温める漢方薬と、取り込んだ冷え(寒邪)を取り除く作用のある漢方薬を飲んでいただきました。
そして普段のお食事に薬味(下の欄参照)を活用すること、平性・温性の食材を意識して摂ること等をお話ししました。
昔と違って現代人はエアコンや冷たい飲み物等でお腹を冷やす機会が多いので、普段胃腸が冷えない方でも注意が必要です。
夏の土用の食養生
*現代は冷やし過ぎ
ほんの30年程前とは桁違いの暑さ。
35℃超えなんてザラ!なので、仕方がないと言えば仕方がないですが・・・
冷蔵庫で冷やした飲み物に氷を入れる、それでも足らずにコップまでキンキンに冷やす等はちょっと行き過ぎではないかと思うのです。
*体の熱冷まし、夏野菜を上手に活用するべし
食べものには陰陽五行説に基づいて、それぞれに体を温めたり冷やしたりする性質があります。
~馴染み深い夏野菜~
寒性:ゴーヤ、スイカ、トマト、ズッキーニ、空心菜、レンコンなど
涼性:キュウリ、なす、セロリ、オクラなど
冷える方には平性、温性がおすすめ
平性:枝豆、トウモロコシ、キャベツ、人参、ピーマン、サツマイモなど
温性:生姜、シソ、かぼちゃ、ネギ、タマネギ、らっきょうなど
*薬味を活用
前出の鰻に添える粉山椒、寿司にわさび、そうめんに生姜・ねぎなど
これらを「薬味」と言います。
薬味とは:
味を引き立たせるだけではなく、毒消しや健康維持のためにも活用されてきました。
薬という字がついているので薬と大いに関係があり、漢方の世界にも食材や生薬を酸味・甘味・辛味・苦味・鹹味の五味に分類しています。
ここでは夏の健康維持に役立ち、手に入れやすい薬味を紹介します。
生姜、ネギ、ニンニク、ミョウガ、シソ、コリアンダー(パクチー)、山椒、花椒など。
冷えに傾きがちな体を立て直し、食欲増進!
発汗させてこもった熱や湿気を取り除く作用もあるので、大いに利用したいものです。
文責
べにばな薬局 薬剤師 国際中医師
渡辺喜美江
べにばな薬局
TEL 0955-70-1881
タグ:丑の日, 伊万里, 佐賀, 冷え, 唐津, 土用, 漢方, 福岡, 糸島, 胃腸, 薬味, 食養生
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2025年4月15日 火曜日
土用シリーズⅠ~春の土用~
「なんだか胃のあたりが貼って苦しい。
腸もグルグルいってガスが溜まっている
みたい。
食欲もあまりなくて、軟便気味です。
以前こちらで頂いた漢方薬が良かったので。」
と50代女性のご相談です。
お話を伺うと、「ストレスのようなモノは
何もないし、暴飲暴食もしていない。」
と言われますが、コレ!という明確なモノが
なくてもカラダは正直です。
季節の移ろいを敏感に感じ取っているので
しょう。
日本の四季、春夏秋冬それぞれの季節
の始まりが「立春、立夏、立秋、立冬」
そして、次の季節に入る前の18日間が
「土用」です。
「季節の変わり目」と言われるこの時期は
何かと体調を崩しがちですね。
陰陽五行説では五臓と季節の関わりを
説いています。
(下の図をご覧ください)
「春は肝」 「夏は心」 「秋は肺」 「冬は腎」を労って次の季節に備えます。
あれ?
「脾(消化機能と考える)」と関わる季節は?
そう、ひとつ残った脾を労るのが
次の季節への橋渡しをする「土用(黄色い丸)」の時期です。
↓
春に活発になる臓器は「肝」ですが、
実は「肝」はストレスに弱い臓器です。
木の性質に似ているので、伸び伸びとした状態を好みます。
しかし、実生活ではなかなか伸び伸びできませんね。
肝は「氣」の流れを良くする働きもあるので、
伸び伸びできないと氣の流れが滞って様々な場所に氣が溜まり、苦しくなってきます。
これが「張ったような痛み」や「おならなどのガス」となって現れるのです。
我慢強い肝が弱ってくると、
ななめ下にある「脾」に影響します(点線の矢印で表示)。
これを漢方では肝と脾の調和が取れない「肝脾不和」と表現します。
つまり、今回のご相談はストレスによって肝が弱りそこから胃腸に影響したと考えられるのですね!
夏の土用は有名ですが、
土用はそれぞれの四季にあります。
2025年の春の土用は4月17日から
明けは5月4日とされています。
つまり5月5日が「立夏」夏の始まりです。
実生活の季節感と若干ずれはありますが、
立春以降の2・3・4月は、生活の環境も
変わる方が多いのでドキドキ・ワクワクが
身体の変調となって現れやすいです。
「木の芽時」という言葉がありますが
この時期特有のこころや皮膚の
お悩みも増えてきます。
春から夏に向かう春の土用は、
どのようなことに氣をつけたら
良いのでしょう。
新生活の疲れも出て来る頃。
5月病といわれる時期でもあるので、
上手にストレスを発散しましょう。
おすすめのはセリなどの香りの良い食材や酢の物。
お花見や歓送迎会などで疲れた肝臓を
休めつつ、胃腸を守る消化の良い食べものを
取り入れるようにしましょう。
本格的な夏の前に日本には湿度の高い
梅雨がありますが、脾というところは湿気を嫌います。
水分の摂りすぎに注意をして、ウォーキングなどで心地よい汗をかいて
水分代謝を良くすることもお忘れなく♪
Children Party Image Illustration
肝も脾も労りながら、元氣に次の季節に
進みましょう!
文責
べにばな薬局
薬剤師 国際中医師 子宝カウンセラー
渡辺喜美江
べにばな薬局
TEL 0955-70-1881
タグ:ストレス, 下痢, 伊万里, 佐賀, 唐津, 春の土用, 木の芽時, 漢方, 福岡, 立春, 糸島, 胃腸, 胸焼け, 薬膳, 軟便, 食欲
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2024年2月24日 土曜日
『病の90%はストレスから』という言葉をよく耳にしますし、『病気とまではいかなくても、何かしらの不調の原因が無意識のうちに心に抱えていたことだった。』と言うことはよくあります。
ストレスとは?
簡単に言うと、『外部からの刺激が自分にとって好ましくないと感じること』で上手に発散できないと心身に影響を及ぼすようになってきます。
今回はストレスによって起こったお悩みのご紹介。
仕事が楽しくて気がついたら42歳
【キャリアウーマンAさん】
43歳で自然妊娠、44歳で自然分娩で出産。
元々健康体であり、妊活中も産後も赤ちゃんとご自分のために必要なものをきちんと取り入れていたので
妊娠中や産後のトラブルもほとんどなく、夜間2~3回起きて授乳するのも苦にならないとおっしゃいます。
ところが!
最近授乳中に身体が痒くて仕方ないとご相談がありました。
・夜間の授乳中に身体が痒い
・痒みが出る場所は一定ではなく、あちこちが痒くなる
・痒みが出たり引っ込んだりする
・蕁麻疹かな?と思って痒みが出たところを見ても、皮膚には何もできていない
・掻いたあとは腫れるが、朝5時頃の授乳時には消えている
・日中の授乳時にはほとんど痒みは出ない
・最近頭痛が出ることもある
掻きながらおっぱいは飲ませにくいし、あまり掻いていると子どもも落ち着かず
途中でおっぱいを飲みやめてしまいます。この痒みは何なのでしょう?
夜間の授乳がストレス!?
愛する我が子におっぱいをあげているときは『至福の時間』と言っても、夜中に何回も起きるのは大変!
無意識のうちに苦痛になっていたかもしれません。
・症状の出方が一定ではない
・症状の出る場所が移動する
・症状が急に出たり引っ込んだりする
・ストレスを感じたり、イヤなことがあると症状が出やすい
・イライラ(精神が過敏なとき)したときに特に症状が出やすい(ひどい)
このようなときは気の流れに左右される『肝気鬱結証』の代表的な症状の出方と考えます。
特に春の時期に多い肝の症状。
『春は肝が病む季節』と聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
春は植物が芽吹くとき。
伸び伸びと根や葉を伸ばし、ぐんぐん成長したい時期。
しかし、ストレスなどで押さえつけられるとどうでしょう?
伸びたくても伸びることができず不調を感じますよね。
身体にも同じことが起こります。
肝は気の流れを司るところですから、
抑うつ状態を感じると、気の流れが滞り様々な不調が出てきてしまうのです。
例えばイライラする、ガス(げっぷ、おなら)が多い、生理周期が不安定、肩やお腹が張りやすい、今回のように痒みとして現れることもあるでしょう。
このようなときはアロマなどリラックス効果のあるものを使うといいですね。
ゆっくりお風呂に入ったり、運動したりもいいでしょう。
好きなことを思い切り楽しめればいいですが、小さなお子さんがいると自分の時間もゆっくりとれません。
そんなときはリラックスできる状態に近づける漢方処方を頼りましょう。
べにばな薬局は、皆さんのストレスによるお悩みに対応した漢方をご提案することを得意とするところです。
これもそうなのかな?と思い当たることがあれば、小さなことでもご相談ください。
このほか、ストレス『肝鬱気滞証』による症状は他のブログもご覧下さい
げっぷの話 « べにばな漢方の話-あなたの漢方の常識それホント?足管理の話もちょっぴりブログ|べにばな薬局 (benibana-kanpou.com)
おならの話 « べにばな漢方の話-あなたの漢方の常識それホント?足管理の話もちょっぴりブログ|べにばな薬局 (benibana-kanpou.com)
ウキウキの春なのに、困った症状があるのです。 « べにばな漢方の話-あなたの漢方の常識それホント?足管理の話もちょっぴりブログ|べにばな薬局 (benibana-kanpou.com)
文責
べにばな薬局
薬剤師 国際中医師 子宝カウンセラー
渡辺喜美江
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2023年12月21日 木曜日
冷たい雨がシトシトと降る夕方、
30代の女性がお仕事帰りに
総合感冒剤をお求めに立ち寄られました。
お話を伺うと、
▢ ゾクゾク寒気がして熱が出そう。もう熱が相当あるかもしれない。
▢ とにかく身体が沈みそうなくらいだるい。
▢ 関節も重だるくてつらい
▢ 頭も重い
▢ ムカムカするし、便も下痢っぽい。
▢ とにかく眠い、早く帰って寝たい~
▢ 悪い風邪なのかなぁ
寒気や熱感だけではなく身体や節々が重だるくて胃腸の調子も悪いなんて、それはつらいですね。
タチの悪い風邪に罹ってしまったと思いますよね。
実は、
それは
湿邪が絡んだ風邪症状
と思われます。
冬は乾燥の季節なので湿邪が絡んだ風邪は珍しいのですが、
こんな冷たい雨がシトシト降るような日や、
もともと身体の水はけが悪く水分を溜め込みやすい方、
冷たい飲み物を摂りすぎて胃腸に負担をかけてしまった時など、
つまり身体に余分な湿気が留まっている時に風の邪に襲われると出やすい症状です。
余分な湿気(湿邪)も風邪も身体にとって不要なものなので、
取り除いてあげるとスッキリしますよ。
【ところで湿邪とは?】
・湿は重くて汚い:
身体がだるい 節々が重だるく痛みを伴うこともある 頭が重い 分泌物が汚い
・湿はネバネバで停滞する:
症状は長期化しやすい 停滞するので慢性化しやすい 眠い
・湿は流れを塞ぐ:
胸が痞えた感じ 代謝が悪くなる 浮腫む 腸鳴 便がスッキリ出ない
・湿は下降する:
重たいので下に行く 浮腫みは下半身に出やすい 滞下(おりもの)が多い 下痢
【湿邪に風邪が加わると?】
悪寒、発熱(熱っぽい)、頭が重い
身体や節々が重く痛む
ムカムカする、嘔吐、お腹が痛む、腸が鳴る、下痢
身体が重く横になりたい、眠い
等の症状が特徴的です。
こんな重い症状でも、漢方薬は効くの?
もちろん!
こんな時でも漢方は効きます。
漢方は長く飲まないと効かないと聞いたことがあるけど。
実は、風邪などの症状では
1,2服でスッキリする
こともあるのですよ。
身体にとって余分なものは早めに追い出しましょう。
今回は湿邪があるところに風邪が侵入したお話でしたが、
普段から湿を溜め込みやすい人(水分代謝の悪い人)、
湿度が高い環境にいる人は、以下を心がけておくと良いでしょう。
*水分を摂りすぎない
*運動や半身浴で汗をかく
*ネバネバ食品や餅類を摂りすぎない
*利尿作用のある食品を利用する
ハトムギ、黒豆、小豆、冬瓜、トウモロコシのひげのお茶 等
ひと言で「風邪」と言っても、様々な原因による症状があります。
風邪は万病の元と言われます。
風邪くらいと侮らず、どうぞご相談ください。
その前に
疲れを溜めない
寝不足をしない
偏食をしない
上手にストレス発散
を心がけましょう
「風邪を引かない日頃の身体作りが大切」なのは言うまでもありません。
いつでもお気軽にご相談ください!
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べにばな薬局
薬剤師 国際中医師 子宝カウンセラー
渡辺喜美江
べにばな薬局 TEL0955-70-1881
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