べにばな薬局は女性薬剤師だけのお店だからでしょうか?
女性の込み入ったご相談も多いです。
先日のことです。
長年利用して下さっているお客様が声を潜めて
『最近、下着が擦れて陰部がひりひりするのよ。
下着が当たるだけでもいや。
乾燥している感じ。
おりものも減ってきたし。
これも更年期のせい?
枯れてきたってこと?
こんなこと先生にしか聴けないわ。』とおっしゃいます。
女性には「子孫を産み育てる」という女性特有の機能があります。
それは女性ホルモンの働きによって絶妙に調節されてきました。
卵巣機能が衰えて女性ホルモンが徐々に減ってくる更年期前半は、自律神経の乱れによる症状(ホットフラッシュや、焦燥感、イライラ、憂うつ感など)が出やすくなります。
やがて卵巣機能が停止して、閉経を迎える更年期後半から老年期になると、女性ホルモンそのものの減少による症状に注意する必要があります。
女性ホルモンの影響を受けるところ(受容体)は体中にありますので、今まで罹りにくかった症状も出やすくなります。
例えば心臓・血管などの循環器系や肝臓での脂質代謝異常、そのほか骨、皮膚、筋肉などにも影響が出てきます。
一般的に更年期前の女性が比較的健康で元気なのは、女性ホルモンに守られているからなのです!
「子孫繁栄に必要な身体だから大切にされている」と言っても過言ではありません。
ご相談の女性の陰部の乾燥感や痒み等は、コラーゲン合成低下による症状であると考えられています。
女性の一生年表、年齢による罹りやすい症状、更年期については
こちら⇒ 女性の一生年表 – home (jimdofree.com)
漢方の世界では、ひとが生を受けた時から死ぬまでを「腎の盛衰」でみています。
漢方でいう「腎」は西洋医学の「腎臓」の働き以外にもっと大きな働きがあり、成長や老化、生殖、免疫、水分代謝、骨や髪や脳の健康などにも関与していると考えられています。
人間の生命力には母親の胎内にいる時に育まれる先天の精と、誕生後の食べものや生活習慣で培われる後天の精があり、それらは生きていく上で必要なエネルギー「腎精」として「腎」に蓄えられます。
漢方の古い書物によると、子どもの成長や老化による体の変化は腎の盛衰と繋がっていて、女性は7歳ごと男性は8歳ごとに変化が記されています。
女性の身体は、大きく分けると
・初潮を迎え妊娠可能となる思春期 14歳頃~21歳頃
・女性の機能が最高潮になる性成熟期 21歳頃~35歳頃
・生殖機能が衰えて閉経を迎える更年期 42歳頃~49歳頃
・更年期以降の老年期 49歳ころ~
つまり、35歳頃をピークに徐々に腎精が衰え「腎虚」になってきます。
女性ホルモンの減少や骨量の減少のグラフが見事に一致していますね。
更年期後期から老年期になって潤いがなくなってくるのは、腎虚の症状のひとつで陰分(からだを構成するもの)が減ってくるからなのです。
更年期後半、老年期の女性の皆様、思い当たりませんか?
皮膚や粘膜の乾燥だけでなく、毛髪のトラブル、シワやたるみ、身長が低くなる、ドライアイ、足腰の弱りなどなど
女性35歳過ぎた頃からいろいろなものが減っていき、身体に変化がみられます。
更年期以降のステージを活き活きと若々しく過ごすためには、
「減る前から補っておく、減ったら補う。」
これが鉄則です。
腎陰虚を補う漢方薬 :
六味地黄丸、知拍地黄丸、杞菊地黄丸、瓊玉膏など
特に瓊玉膏は不妊・不育でお悩みの方、小さいお子様の成長のために、ご高齢の方の滋養強壮としても安心してお使い頂けるお薬です。
潤い不足の方へのおすすめ食材 :
枸杞の実、松の実、黒ごま、白きくらげ、黒きくらげ、山芋、豚肉、卵、梨、リンゴ、蜂蜜、など
若い人の中には血虚(血の持つ栄養・滋潤作用が不足した状態)の症状の方も多いですが、
血虚がすすみ陰液不足で肌、髪、爪などが乾燥気味になってしまうこともあります。
若いうちからしっかりケアしていくことは、更年期をはつらつと過ごし、歳を重ねるほど若々しい老年期を送るために大切なことなのです。
文責
べにばな薬局
薬剤師 国際中医師 子宝カウンセラー
渡辺喜美江
べにばな薬局 TEL0955-70-1881